唾液を作る所にも石ができると聞きましたが、どのようなものですか?




 口の中に唾液が出てくるのは、唾液線という組織で唾液が作られてるからです。その量は成人では一日1〜1.5リットルにも及び、ほぼ一日の尿量に匹敵します。唾液腺には、小唾液腺と大唾液腺の2種類があり、小唾液腺は唇、頬、上顎など粘膜のいたるところに存在します。一方、大唾液腺はその存在場所によって耳下腺、顎下腺、舌下腺の三つに分けられ、最も大きいとされる耳下腺の大きさは鶏卵ほどもあります。これらの唾液腺から導管と呼ばれる管を通って口の中に唾液がでてくるのですが、その導管の途中や、唾液腺の本体(腺体)内に石ができたものを唾石(唾石症)といいます。
 唾石は、唾液中のカルシウムなどの無機質が固まってできたものですが、特に、顎下腺の導管や腺体内にできることが多いといわれています。
小さなものでは、症状が全くない場合もありますが、導管内にできた場合は自然排出されるか、排出されないものは次第に大きさを増してやがて症状が出てくるようになります。
 唾石症の特徴的な症状として、唾疝痛があります。これは食事の際に出現する痛みで、食事によって唾液の分泌が促されたのに、唾石がその排出を妨げ、唾液腺内の圧力が高くなるために発現するものです。また、感染を引きおこした場合には持続的な痛みや、導管からの排膿を生じることもあります。
 対処法としては、何もせず経過をみていく場合もありますが、臨床症状が明らかな場合は、通常摘出術が行われます。導管内の唾石では口の中からの処置が可能な場合が多いようですが、唾液腺本体内の唾石の場合は、体表からのアプローチが必要な場合もあります。予後は良好であるとされ、再発はまれといわれています。現在のところ、予防法というものはありませんが、異常を感じたら、早期に受診し、歯科医、口腔外科医に診断を仰ぐことをお勧めします。